「二人目の母親になっている日本の男たち」「二人目の母親になっている日本の男たち」正高信男著/主婦の友社この本のタイトルは、常々私が感じていたせいもあり、ふと目に留まった。 手に取って著者名を見ると、著者の肩書きが「京都大学霊長類研究所教授」とある。 私は、心理学者や社会学者の説も面白いけれど、 文化人類学者・自然人類学者・霊長類学者など、 自然科学系の学問から見た人間考察に、とても共感することが多い。 そんなこともあり、巻末の著者紹介を見ると、最近よく目にしていた 「ケータイを持ったサル」の著者でもあることを知る。 その他にも、「ヒトはなぜ子育てに悩むのか」「いじめを許す心理」など、 何となく気になる書名で私の脳裏に引っかかっていたものが多い。 実は私は、十年ほど前から五年間ほど子育てに関する本を手当たり次第に読み散らかした時期がある。 ちょうどその頃、不登校や非行、ひきこもりなど、 子どもに関する事象に関心を持つようになり、通教での卒論もそのことに多少は関連があったせいだ。 しかしこの数年は、そのような本には食傷気味になっていて、 この類の本はあまり読んではいなかったから、 正高氏の著書も気になってはいても読むまでには至っていなかったのだ。 現在の日本の家庭には、母親が二人いるようなものだと言うことは、 なにも正高氏の専売特許ではなく、色々な人が言っていることだと思うし、 その影響を受けてなのか、あるいは色々な家族の状態を見聞きしてなのか、 私自身もそのように感じている。 しかし、この本は実にわかりやすくそのあたりのことを書いている。 子育て初心者の親、特に父親に読んで欲しいとの著者の思いを、ひしひしと感じる。 父親になったばかりのお父さんには、ぜひ読んで欲しいと私も思う。 私は「ノウハウ本」はあまり好きではないのだが、子育ても技術であるとするならば、 このようにすぐに実践できる方法とその理由を伝えてくれる本も、必要なのだろうと思う。 「人間が生きていく世界には、自分ではどうしようもできないこと、怖いこと、悲しいこと、つらいことなどが、たくさんあります。 自分の思い通りにならないことがしばしば起こります。 それらを幼い子どもに伝え、理解させるのが、大昔から変わらない父親の役割です。 言い換えれば子どもに、『自然』を教え込むということです。(P162)」 「ビギナーの父親が、子どもを自然の中に連れ出すよりも簡単にできることは、絵本を読み聞かせることです。特に怪獣やオバケの登場するものをおすすめします。(中略) 男性の声による育児語。これがポイントです。 育児語は、幼い子どもに言葉が聞き取れるように、また、感情がよく伝わるように、声のトーンを上げるとともに、派手なくらい抑揚をつける話し方です。 これは特に意識しなくても、相手の反応を確かめながら話すと、たいていそのような口調になります(P166)」 若いお父さんやお母さん、ぜひご一読を! 2004年08月13日 |